日本酒の作り方
日本酒は日本の伝統的なお酒です。その作り方は独自の方法で作られています。作り方を知れば、より一層日本酒を美味しく飲めるはず!日本酒初心者さんの為に日本酒の作り方をご紹介!
日本酒の作り方
精米
お米を削る工程を磨くと言います。
雑味と感じられる外側の脂質やタンパク質を削っていきます。
- 健太郎のウンチク
日本酒のラベルには、どれだけ削ってあるかが書いてあるものがあるんです。
「○%精米」のような表記を精米歩合といって、玄米に対して何%のお米になっているかを表しています。つまり、60%精米の場合だと、40%を削ったということです。
精米歩合の数字が小さければ小さいほど磨いていますね!白米は約90%精米なのに対し、日本酒は70%以上削るのが一般的なことを考えると、いかに味の繊細さを重視しているのかが分かりますね!
米の持つ奥深さを楽しんいただくために、あえて精米せずに造られた日本酒もあります。クセが強く、日本酒を極めた方向け!たくさん磨かれた日本酒の方がスッキリとしていて、飲みやすいので、選び方の参考にしてみてください。
洗米・浸漬
お米を水洗いし水に浸けます。
- 健太郎のウンチク
吸水時間が短いと水分不足のために充分に米が蒸されないですし、吸水時間が長いともろみの発酵過程で溶けすぎてしまいます。日本酒造りのための最適な吸水時間は、常に一定ではない点も、日本酒造りの奥深いポイント!気温が低ければ水はしみ込みにくくなりますし、酒米の品種によって水分の吸収できる量が違います。
その時々の気候・温度や、酒米の品種によって浸漬時間を秒単位で変えて、適量の水を吸収させているそうです。日本酒造りはとても繊細ですね!
蒸米
甑(こしき)という釜で蒸します。
- 健太郎のウンチク
蒸すことで、次の工程で「麹菌」の作用を受けやすくします。「炊く」のではなく「蒸す」!
ご飯は炊くとふっくらモチモチになり美味しいのですが、日本酒は粘り気があると仕込む際に米が溶けてしまって雑味が出てしまいます。
そのため、蒸すことで必要な分のみの水分を含ませます。これが蒸米。手にひっつかない程度の固さがベストみたいです!
麹づくり
蒸米を麹室(こうじむろ)に移動させます。
- 健太郎のウンチク
麹室は35℃ほどに保温されている中で蒸米を広げて麹菌をふりかけて繁殖させていきます!
麹菌を増やしたものを麹とよび、日本酒には欠かせないものとなります。
麹はデンプンをブドウ糖に変える役割があります。ブドウ糖がアルコール発酵することで、お酒になります。
例えば、ワインの原料、ブドウの主な成分はブドウ糖。ブドウ糖は水を入れて時間が経つとアルコール発酵します。
しかし、米の成分はデンプン。デンプンは水を加えるだけでは、アルコール発酵できないので、まずデンプンをブドウ糖に変える必要があります。それが麹の役割。
お米をブドウ糖へと分解する麹を発見して日本酒を造った人、ほんとすごい!
酒母づくり
麹と水を混ぜ合わせたものに、酵母、蒸米を加え発酵させます。
酵母がたくさん増えた状態を酒母(しゅぼ)といいます。酵母にはブドウ糖をアルコールに変える役割があるため、酵母が大量になければ日本酒はできません。酵母を増やし酒母を作ります。
- 健太郎のウンチク
酵母は微生物の一種。英語でいうと「イースト」その名称の方が、みなさんには馴染みがあるかもしれませんね。パンを膨らませる役割の「イースト菌」も酵母のひとつ。
酒母をつくるときも、時間が経つにつれ表面が膨らんできます。さらに時間が経つとプツプツと泡が出てきます。この時、香りを出す力もあり、嗅ぐだけで飲んだ気分になっちゃいます!
仕込み
酒母を大きなタンクに移し、麹・蒸米・水を3回に分けて加え、もろみを作ります。この作業を「三段仕込み」もしくは「仕込み」と呼びます。
- 健太郎のウンチク
麹菌がお米をブドウ糖に分解反応と、酵母がブドウ糖からアルコールへ分解反応が同時に起きています。全量を一気に入れて発酵させてしまうと、酵母菌の増殖が間に合わなくなってしまいます。
この醸造方法は、他のお酒にはない日本酒独特の方法。
発酵が進むと、酒母のときと同じようにプツプツと泡がでてきます。
約3週間から1カ月ほどじっくり発酵したものを「もろみ」といい、いよいよ日本酒の原型がこの段階で出来上がります。
搾り
もろみに圧力をかけて、濾して(こして)いきます。これが「搾り」です。
搾ることで、水分と固形物に分かれます。簡単に言うと、「日本酒」と「酒粕」に分けるということです。
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搾り方も酒蔵によって「袋に入れて重力で搾る方法」と「自動圧搾ろ過機という機械で搾る方法」がありますが、最近は後者の機械で搾る方法が主流になっているそうです。搾る圧力によってもお酒の味わいが変わるので、酒蔵の個性が出る作業のひとつ!
濾過
搾りを終えた日本酒を濾過します。
- 健太郎のウンチク
濾過する前の日本酒は、少し濁っていたり、微発砲を感じられたりすることもあります。濾過することで、クリアな日本酒に仕上がるんですね!最近ではフィルターを通して濾過するのが一般的だそうです。昔は活性炭を使用することが多かったようですが、旨味成分も多く取り除かれてしまうため、現在は主流ではないそうです。フィルターで濾過を終えた日本酒は、綺麗な飲み口に仕上がります。
火入れ
濾過後すぐに1回目の火入れを行います。
酵母が残っているため発酵が進み、味が変化してしまうのを防ぐため、熱を加えて酵母を失活させる必要があります。
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火落菌(ひおちきん)という、日本酒を酸化させて臭みを帯びさせる乳酸菌が入ってしまっている可能性があるので、それを死滅させるためにも必要な工程!「火入れ」という言葉から直接火にかけるような作業を連想してしまいますよね。湯煎のような方法で60℃から65℃で低温殺菌します。菌が死滅・失活し、美味しさは損なわない温度がミソ!これで日本酒を長く美味しく飲むことができます。
貯蔵
熟成させるために貯蔵します。
貯蔵・熟成された日本酒は、まろやかな味わいに変化するため、飲みやすくなります。
火入れをしてから約半年から1年間、タンクの中でじっくり時間をかけて貯蔵します。
- 健太郎のウンチク
貯蔵をせず出荷する生酒と呼ばれるお酒もありますが、一般的に流通している日本酒は貯蔵されたもの。同じタンクで作ったお酒でも生酒と貯蔵させたものを飲み比べると味に違いを感じます。それも日本酒の楽しみ方の一つなので、見かけたらぜひ飲み比べてみてください!
調合
熟成したお酒を、別のタンクの日本酒と合わせたり、加水(割り水)したりします。
合わせる理由は同じ造り方をしていてもタンクごとに微妙に味わいが変わるためです。
- 健太郎のウンチク
タンクの場所による気温差などが理由のひとつ。些細なことで発酵具合に微妙に差が出るみたいです。また、日本酒はアルコール度数が0.5度違うだけでも全く違う味わいになります!
適当な味にするため、場合によっては加水して微調節していきます。
この作業を調合と呼びます。このように、貯蔵した日本酒にブレンドしたり、加水したりして最終的な味を仕上げていくのです。
瓶詰め
瓶やパックに詰める最終工程です。この作業も重要!最後まで気を抜けません!
- 健太郎のウンチク
瓶詰めの段階でも温度管理がきちんとされていないと味が変化・劣化することがあります。異物が入っていないか1本1本検品。厳しい検品にクリアできたお酒のみが出荷されます。日本酒造りは最初から最後まで丁寧で繊細な作業ですよね。
美味しい日本酒を作るために欠かせない「原料」と「人」
これまで日本酒の作り方をご説明してきましたが、美味しい日本酒に欠かせない2つの条件があります。
- よい「原材料」
- 腕のある「人」
この2つがとても大事です。 お米と水が良いものでないと、いくら腕のある人がお酒を造っても美味しい日本酒はできません。つまり、美味しい日本酒には、よい原材料も人の技術も揃っているということです。
また、原料であるお米は農家がつくっています。
お米の土づくりから考えると日本酒になるまでは早くても1年かかります。熟成させれば2年ほどです。たくさんの時間をかけてやっと私たちが口にできます。
日本人は美味しいお酒を飲むために、労力と技術を磨いてきた歴史があり、日々技術をアップデートしていると思うと、じっくり味わわなければ作り手に申し訳ない気持ちになりますよね。
毎年数えきれないほどの日本酒が世に出てきていると思うと、その数だけ作り手の努力と想いが存在するということなのです。
いろんなストーリーをもった日本酒があるので、飲むときはラベルやチラシ、ウェブサイトなどを見てみて、作られた背景も一緒に味わうと、より一層楽しめるのでオススメですよ。
まとめ
いかがだったでしょうか。全部で12の工程を経て、日本酒は私たちの手元に届くわけです。
読んでみると実際に見てみたくなった方もいらっしゃったかと思います。
実際に日本酒造りや、酒米の田植え体験ができるプログラムを募集している酒蔵もありますので、気になる方は参加してみてはいかがでしょうか?
より深く日本酒や日本文化学び「日本酒ライフ」を楽しんでくださいね。